定期購入やサブスクを利用して、「解約の仕方が分からない」「お問い合わせ先の電話番号が一向に繋がらない」そんな困った経験はないでしょうか?
今回は、現役のECサイト店長である筆者がそんな「ダークパターン」についてお話しします。
問題視されている「ダークパターン」
実は、数年前から世間でも定期購入のトラブルが増加しており、問題視されているんです。
最近だと、2023年6月アメリカで、Amazonの有料会員制度「プライム」の登録数を “消費者を欺いて” 増やしたと、米Amazonを提訴し、話題になりました。
ダークパターンとは?
ダークパターンとは、ECサイトやアプリ上の表記やデザインを利用して、消費者にとって不利な決定に誘導する手法を指します。
ダークパターンの概念を唱え、名付け親となったのは、UXの専門家である、ハリー・ブリグナル氏。
アメリカでは、このダークパターンへの取締りが進んでおり、2021年に米カリフォルニア州の消費者プライバシー法で、解約手続きにおけるダークパターンが禁止されています。
その法律では、購入をキャンセルするページで分かりにくい言葉を使ったり、何度もページをクリックさせるような手法を禁止しています。ダークパターンの通告があれば、1ヶ月間は修正の猶予を与えられるそう。これに応じなければ、処罰の対象になる可能性があります。
ダークパターンの具体例
では、いったいどんな仕掛けがダークパターンになるのか?具体例を見てみましょう。
- 定期購入、サブスクの登録は簡単だが、解約方法が不明瞭
- オプション商品のチェックボックスのデフォルト状態が☑になっている(勝手にカートイン)
- 一回の購入や初回無料購入と見せかけて、継続購入をさせる
- 偽のカウントダウンタイマーを表示させて購入を煽る(”偽”はダメ。ゼッタイ。)
- サイト側が選択させたくないオプションを灰色に表示し、あたかも無効であるかのように見せかける
- 同じ商品を見ている人の人数、他ユーザーーが製品を購入したことを示す表示、商品をカートに入れたユーザーの数を提示する(”偽”はダメ。ゼッタイ。)
- 選択肢に「はい」「いいえ」で提示するのではなく、拒否の選択肢にのみ「いいえ、節約したいとは思いません」のように偏った表現を使う。(羞恥心を悪用している)
- 紛らわしい言葉を使い、ユーザーに誤った選択を誘発する(「メールを受け取りたくない場合は、チェックを付けないでください。」などの二重否定言葉を使う)
日本の状況は?
日本では、2021年3月時点で、国内の消費者向け主要サイトの6割以上でダークパターンが用いられているという調査結果があります。
最近あった事例として、ドコモやKDDI などの大手通信会社が、解約ページを「noindex(検索結果に表示させない仕組み)」にしていたとして、大きな社会問題になりました。
このような背景があって日本においても、消費者庁をはじめとしてダークパターンの議論が活発化している状況です。
2022年6月1日には特定商取引法の改正法が施行されました。通信販売における「詐欺的な定期購入商法」への対策が強化されています。
個人情報を悪用したり、不誠実なサービスは一刻も早く取り締まるべきであると思う。
ただ、ダークパターンかどうかは、利用者側がどう感じるか?というところに依存していている場合も多く、どこからが悪質なのか?という点で、完全な取り締まりが難しいのだろうと考えます。
日本の主要サイトの6割でダークパターンが用いられているという調査結果が出ているように、取り締まったとしても次から次に、新たなダークパターンが生まれ、いたちごっこになるようなことは簡単に予測がつきます。
なぜ、ダークパターンが生まれるのか
結論から言うと、企業は目先の利益を上げるために、ダークパターンを採用することがあります。ダークパターンによって、短期的な利益を得ることができるでしょう。その代わりに、企業の信頼が徐々に減って行く結果になり、さらには致命的なダメージとなるでしょう。
そうならないために、健全な姿勢を示していける企業が増えることを望んでいます。また、利用者側がどう感じるかという意見が何よりも大事です。消費者側のリテラシーを上げていくことも、課題であると感じました。
下記の書籍でも詳しく解説されています。興味のある方は、参考にしてみてください。
■参考資料
消費者操る「ダークパターン」 国内サイト6割該当 – 日本経済新聞
「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」に!?-「詐欺的な定期購入商法」の規制が強化された改正特定商取引法が施行されました!- - 独立行政法人国民生活センター
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